国際学術誌『Frontiers in Psychiatry』にうつ病に関連する腸内細菌叢の異常と新たなうつ病リスクの推定方法に関する当社の論文が掲載されました

2024年6月13日

うつ病患者に特徴的な腸内細菌叢の異常を解明し、腸内細菌叢の組成データからうつ病リスクを推定する新たな方法を開発
-うつ病の病因解明と早期発見に向けて-

当社は、腸内細菌叢と疾病の関連性に関する研究と、腸内細菌叢の改善を介した疾病の予防・改善方法に関する研究・開発に取り組んでいます。このたび、ベスリクリニック及び星子クリニックとの共同研究を行い、日本人うつ病患者群の腸内細菌叢の特徴からうつ病に関連する腸内細菌叢の異常(dysbiosis)を解明し、腸内細菌叢の組成データを用いた新たなうつ病リスクの推定方法を開発しました。

うつ病発症のメカニズムは複雑で未解明のため、その解明が急務となっています。
本研究では、うつ病と腸内細菌叢の関連性の視点から研究を行いました。その結果、健常者群と比較して、うつ病患者群では水素産生菌が少ないことを特徴とする腸内細菌叢のdysbiosisが起きていることが明らかとなりました。この結果から、うつ病患者は、脳内で炎症抑制の作用がある腸内細菌由来の水素の量が減り、強いストレスなどによって誘発された脳内の炎症を抑制できない状態にあるという新たな仮説が導き出されました。
また、本研究では腸内細菌叢の組成データを用いた新たなうつ病のリスクの推定方法を開発しました。このうつ病リスクの推定方法は、便検体を用いた腸内細菌叢検査サービスに組み入れることができるため、うつ病の効果的なスクリーニング方法、さらにはうつ病診断の判断材料として活用することが可能です。
本研究の成果は、うつ病の発症・進行のメカニズムについて新たな知見を提供するとともに、うつ病の早期発見および腸内細菌叢の改善を介したうつ病の予防・治療方法の開発につながると期待されます。

図:うつ病群と健常者対照群の腸内細菌の分類群(属レベル)の違い

本研究成果は、国際学術誌『Frontiers in Psychiatry』(2024年5月28日付)に掲載されました。
https://www.frontiersin.org/journals/psychiatry/articles/10.3389/fpsyt.2024.1382175/

▶詳細はこちら(PDF)をご覧ください。

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