グラム染色は、1884年にデンマークの細菌学者グラムによって発明された細菌を色素によって染色する方法で、細菌を分類する基準のひとつです。グラム染色により紫色に染まる細菌をグラム陽性菌、赤色(ピンク色)に染まる細菌をグラム陰性菌に大別します。この染色性の違いは細胞表層の構造の違いを反映しています。
グラム陽性菌は細胞膜の外側に堅くて厚い細胞壁(ペプチドグリカン層)をもっており、グラム染色液でよく染まって紫色に見えます。
一方、グラム陰性菌には、細胞膜(内膜)の外側にリポ多糖(LPS)を含む外膜が存在します。内膜と外膜に挟まれた水溶性領域はペリプラズムと呼ばれ、ここに薄いペプチドグリカン層があるという構造から、グラム染色液にあまり染まらず、赤色(ピンク色)に見えます。