食品と腸内細菌の関係①:納豆

納豆と腸内細菌の関係


蒸した大豆に納豆菌を混ぜ、発酵させてつくる納豆は、日本の伝統的な発酵食品です。


血液の凝固に不可欠なビタミンKや大豆由来のタンパク質に加え、食物繊維も豊富に含まれており、整腸作用があると考えられている納豆は、納豆菌そのものが含まれているため、優れたプロバイオティクス(健康維持に有効な微生物)としての効果が期待されています。


そこで当社では、納豆粉末の腸内細菌叢への影響を明らかにする研究に取り組み、2022年にその成果を共同研究として論文発表しました。(詳細はこちら )

  科学雑誌『Nutrients』に納豆加工食品摂取による腸内細菌叢の変動に関する当社の論文が掲載されました - シンバイオシス・ソリューションズ 納豆加工食品摂取による腸内細菌叢の変動を解明−大規模な日本人腸内細菌叢データベースを用いた考察− 当社の香野ら シンバイオシス・ソリューションズ -


目次[非表示]

  1. 1.納豆粉末摂取の効果
  2. 2.食品摂取による腸内細菌叢の改善


納豆粉末摂取の効果


この研究では、佐賀県江北町に住むモニター205名(男性100名、女性105名)を対象に、大規模な腸内細菌叢の調査を実施しました。


モニターを男女それぞれ、納豆粉末を2カ月間摂取するグループと摂取しないグループに分け、摂取による腸内細菌叢の変化を解析。


その結果、納豆粉末を摂取することで、男性ではBifidobacterium(ビフィドバクテリウム)およびBlautia(ブラウティア)の存在量が増え、女性ではBifidobacteriumが増えることが明らかになりました。


また、納豆粉末の摂取がBifidobacteriumを増加させる効果は、男女ともに、日常的な食生活において納豆を含む発酵食品を食べる頻度が低く、Bifidobacteriumの存在量が少ない人で著しいことがわかりました。


特に、女性の納豆粉末摂取群を、摂取開始前にBifidobacteriumの占有率が低かった群(LBi群)と高かった群(HBi群)に分け、納豆粉末摂取が腸内細菌叢に与える影響を比較したところ、LBi群のみでBifidobacteriumが有意に増加しました(図)。


納豆と腸内環境の変化


Bifidobacteriumは酢酸や乳酸を産生して腸内のpHを低く保ち、病原菌の増殖を抑制することが知られており、腸内環境を整える菌のひとつです。


Blautiaも有用な菌のひとつと考えられており、内臓脂肪面積が低い人ほど存在量が多く、大腸がんや糖尿病などの患者に比べて、健康な人の腸内で多いと報告されています。


また、当社が所有する日本人の大規模な腸内細菌叢データベースの情報からも、BifidobacteriumおよびBlautiaは、糖尿病などの生活習慣病患者に比べ、健康な人の腸内で存在量が多い傾向がありました。


以上のことから、納豆粉末の摂取はBifidobacteriumBlautiaの減少による腸内細菌叢の乱れを改善する可能性が高く、納豆が有用なプロバイオティクスであることが示されました。


食品摂取による腸内細菌叢の改善


この研究結果は、納豆粉末の摂取による腸内細菌叢の改善効果が、摂取する人の摂取前の腸内細菌叢におけるBifidobacteriumの存在量に左右されることを示しています。


そのため、腸内細菌叢の改善を目的とした食品摂取には、事前に腸内細菌叢の状態(Bifidobacteriumに限らない、さまざまな腸内細菌の構成)を把握し、その内容をふまえて食品を選択することが望ましいと考えられます。


当社の腸内細菌叢の検査・分析サービスでは、個人それぞれの腸内細菌叢の特徴をふまえて、疾病の予防・改善に役立つと考えられる食品を例示する機能を備えています。


参考文献
Cao, Z.-H. et al. Biotechnol Adv 37, 223–238 (2019).
細井知弘. 日本醸造協会誌 98, 830–839 (2003).
Kono, K. et al. Nutrients 14, 3839 (2022).
Okai, S. et al. Nat Microbiol 1, 16103 (2016).
Ozato, N. et al. npj Biofilms Microbiomes 5, 1–9 (2019).
Chen, W. et al. PLoS One 7, e39743 (2012).
Larsen, N. et al. PLoS One 5, e9085 (2010).



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